話を要約すると、こうだ。
今MTGの世界では、古代のドラゴンが暴れまわっているらしい。
その力は強大で、MTG界をほぼ支配しているようだ。
更にMTGの世界だけでは飽き足らず、現実の世界をも征服したいらしい。
俺が現実で見た大渦の脈動 も、その一端だそうだ。
そいつらを打ち倒すための、戦力をこの少女は探していたらしい。
で、選ばれたのが、俺とケン。
「そうだ」とか「らしい」とかばっかりだが、聞いた話だから仕方が無い。

「・・・つまり、俺にそのエルダードラゴンを倒せと?」
「飲み込みが早い!さっすが私が選んだプレインズ・ウォーカーね!」
「そりゃ、こんだけ現実を突き付けられたらな。切り替えを早くしないと」
「うんうん、その心意気や良し!」

上手く丸め込まれた感はあるが、今はこの少女だけが頼りだ。

「で、どうやって戦えばいいんだ?まさかカードの中でカードを使うわけでもあるまいし」
「それは・・・まぁ、戦った方が早いわね。お兄さん。お会計」

店を出た俺たちは、人気のない広場に来た。

「ここにはカードは存在しない。自らが生み出す『マナ』と『アイディア』が重要よ。
 あなたが思い浮かべた呪文を言葉にすれば、それは唱えられるわ。
 軽い呪文はすぐに唱えられるけど、重たい呪文は時間がかかる。
 あとは、何とかして相手を倒せば勝ち。簡単ね」
「ざっくりすぎるんだが・・・」
「まぁ、普段のMTGを思い浮かべれば、そう難しいものではないわよ」
「どんな呪文でも、時間さえあれば唱えられるということか?」
「呪文の色には、得手不得手があるわ。人によっては一生唱えられない色もある。
 あなたは・・・緑ね。それ以外はまだ無理」
「どうやってそれがわかる?」
「なんとなく。私の才能ね」
 
つまり緑単色で戦えということだ。

「準備はいい?とりあえずなんでもやってみることね」
「ふーん。それじゃぁ・・・」

俺は一人の女性を思い浮かべた。

貴族の教主!

瞬間、目の前に見慣れた修道士風の女が現れた。

「・・・まぁ、初めてにしちゃ上出来ね」

少女は何もしてこない様だが、こちらは緑単色、長期戦は避けたい。

絡み根の霊!行け!」

虚ろな霊魂が少女を襲う。

「・・・ 流刑への道

パシュン!
音と共に、霊が消え去る。
同時に、湧き上がる何かを感じた。

「(これが・・・マナ?)」

言葉が自然と溢れて来る。

去る仲間。仇なすは彼方。守る者は無し。不屈の体で敵を討て
「(な・・!?まさか!)」
最後のトロール、スラーン!!

グアォォォォォ!!

屈強な老兵が、そこにいた。

「(流刑への道の特性を瞬時に判断した様ね。さすがの応用力だわ。
  こちとら打ち消す準備満々だったってのに・・・してやられたわね。
  この分じゃきっちり再生されそう。なかなか長くなりそうだわ)」

「(思いつきで唱えたが、意外と上手くいくもんだな。
  しかし、こりゃカードと違ってしんどいな。デッキタイプも、色も、今何マナ残してるのかもわかりゃしない。
  ・・・これはこれで、面白いけどな!)」


少女の倍もあろうかというトロールが、木槌を振り上げたその瞬間。

「(・・・まぁ、それでも私の負ける姿は想像できないけどね!)」

謎めいた命令!

次回:第4話「エルダー・ドラゴン」

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