【小説】ギャザリング・ワールド【第1話「プレインズ・ウォーカー」】後編
2015年3月4日 TCG全般MTGの世界において、確率論は決して軽視されるものでは無い。
初手に土地が何枚欲しいのか?ライブラリーを5枚掘った時、欲しいカードがハンドに来る時の期待値は?
デッキを構築するにあたり、それを無視することは即ち、デッキそのものの崩壊を意味する。
「デッキ60枚内に含まれる土地の枚数が23枚である場合、初手に2枚の土地が来る確率は?」
「デッキ内のスペルの平均コストが3である場合の、土地含有率の理想値は?」
そのデッキで何がしたいかを加味されたうえで、それは議論される。
翔太と健と亜弥は、その講義を受けていた。
内2人は、マリガンを3回以上したような顔である。
「(つまんねーよな、マジで)」
健が囁く。
「(こんなもん、それなりに鍛えたMTGプレーヤーなら常識だってのな)」
「(まぁ、全く経験の無いやつだって稀にいるわけだし、仕方無いだろ)」
「(私はすっごく興味あるけど、題材がカードゲームってのがね・・・)」
いつものように、斜に構えながら講義を受けていた。その時だった。
----------ズガァァ!!
地面が揺れる。
視界が揺らぐ。
---- 地震か、と翔太は思った。が、それは直に訂正された。
窓の外に見える、奇妙な渦。周囲の建造物を巻き込む、死の螺旋。
「・・・『大渦の脈動』・・・?」
翔太には、それに見覚えがあった。
「くっそ・・・何なんだよ・・・」
健が悪態をついたその瞬間----
-----------バリィィィィィィッィン!
窓ガラスを突き破り、何かが入ってきた。
講義室内の学生たちは、恐怖に怯えている。
冷静に状況を分析していたのは、4人だけだった。
翔太、健、亜弥、そして、入ってきた何か。
それは、若い少女の様だった。
「イタタタ・・・まさか着地に失敗するとはなぁ~。もう少し『調和』を考えないと・・・」
3人は、少女の様なものを見つめている。
「さって、お仕事お仕事っと。お、調度いるね」
少女は2人を、まるで『より良い品物』を選ぶかのように、まじまじと見つめる。
「ふ~ん、あんたたち、たしかに『プレインズ・ウォーカー』ね」
健と翔太は、その言葉が指すところの意味は理解できないまでも、必死で状況を把握する。
「戦力はになるかどうかは知らないけど、問答無用で来てもらうよ」
「おい、お前さっきから何言って・・・」
健が言いかけた時、健の顔から口が無くなった。
「『沈黙』。あんたらには権利は無いよ。ただ私に従うのみ。・・・いや、『私達に』、か」
ムグムグと、健は何かまくしたてているが、何も聞こえない。
「・・・お前、誰だ?」
翔太が尋ねた。
「私は・・・そうね。案内人ってところかしら」
人間で言うところの小学校高学年というところの見た目だが、発言にはずいぶん余裕がある。
「あまり時間は無いから・・・いくよ!!」
少女が詠唱した呪文は・・・2人にも聞き覚えがあった。
「『時を越えた探索』!」
第2話「M・T・G」
初手に土地が何枚欲しいのか?ライブラリーを5枚掘った時、欲しいカードがハンドに来る時の期待値は?
デッキを構築するにあたり、それを無視することは即ち、デッキそのものの崩壊を意味する。
「デッキ60枚内に含まれる土地の枚数が23枚である場合、初手に2枚の土地が来る確率は?」
「デッキ内のスペルの平均コストが3である場合の、土地含有率の理想値は?」
そのデッキで何がしたいかを加味されたうえで、それは議論される。
翔太と健と亜弥は、その講義を受けていた。
内2人は、マリガンを3回以上したような顔である。
「(つまんねーよな、マジで)」
健が囁く。
「(こんなもん、それなりに鍛えたMTGプレーヤーなら常識だってのな)」
「(まぁ、全く経験の無いやつだって稀にいるわけだし、仕方無いだろ)」
「(私はすっごく興味あるけど、題材がカードゲームってのがね・・・)」
いつものように、斜に構えながら講義を受けていた。その時だった。
----------ズガァァ!!
地面が揺れる。
視界が揺らぐ。
---- 地震か、と翔太は思った。が、それは直に訂正された。
窓の外に見える、奇妙な渦。周囲の建造物を巻き込む、死の螺旋。
「・・・『大渦の脈動』・・・?」
翔太には、それに見覚えがあった。
「くっそ・・・何なんだよ・・・」
健が悪態をついたその瞬間----
-----------バリィィィィィィッィン!
窓ガラスを突き破り、何かが入ってきた。
講義室内の学生たちは、恐怖に怯えている。
冷静に状況を分析していたのは、4人だけだった。
翔太、健、亜弥、そして、入ってきた何か。
それは、若い少女の様だった。
「イタタタ・・・まさか着地に失敗するとはなぁ~。もう少し『調和』を考えないと・・・」
3人は、少女の様なものを見つめている。
「さって、お仕事お仕事っと。お、調度いるね」
少女は2人を、まるで『より良い品物』を選ぶかのように、まじまじと見つめる。
「ふ~ん、あんたたち、たしかに『プレインズ・ウォーカー』ね」
健と翔太は、その言葉が指すところの意味は理解できないまでも、必死で状況を把握する。
「戦力はになるかどうかは知らないけど、問答無用で来てもらうよ」
「おい、お前さっきから何言って・・・」
健が言いかけた時、健の顔から口が無くなった。
「『沈黙』。あんたらには権利は無いよ。ただ私に従うのみ。・・・いや、『私達に』、か」
ムグムグと、健は何かまくしたてているが、何も聞こえない。
「・・・お前、誰だ?」
翔太が尋ねた。
「私は・・・そうね。案内人ってところかしら」
人間で言うところの小学校高学年というところの見た目だが、発言にはずいぶん余裕がある。
「あまり時間は無いから・・・いくよ!!」
少女が詠唱した呪文は・・・2人にも聞き覚えがあった。
「『時を越えた探索』!」
第2話「M・T・G」
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