【小説】ギャザリング・ワールド【第1話「プレインズ・ウォーカー」】前編
2015年2月20日 TCG全般第一話「プレインズ・ウォーカー」前編
「引くなよ・・・引くなよ・・・引くなよ・・・!」
「アンタップ・アップキープ・ドロー・・・」
「引くなよ!絶対引くなよ!」
「・・・包囲サイをプレイ。通る?}
「んがーー!また負けたーーー!」
「だから、速攻タイプのデッキは初動が遅れたら負けって言ってんだろ・・・」
「俺の渾身のモダンデッキ【赤緑ブリッツ】は完璧のはずだ!くっそーもう1回!もう1回だ!ショウ!」
「やれやれ・・・」
呆れた表情で並べたカードを集め、手慣れた手つきでカードをシャッフルする青年。
「ショウ」と呼ばれた彼は、名を早川翔太と言った。
一方、必死でデッキとサイドボードを交互に睨めっこしている青年は、三浦健。
どちらも、MTGをこよなく愛する若者である。
「・・・にしてもよぉ。お前、いつの間にそんな強くなったんだ?」
「何が?」
「いや、強くなったと言うか・・・引きが強すぎるというか。
MTGを始めたのは同じくらい・・・ってか俺が教えたぐらいなのにさ。
一体どんだけショップ巡りしたんだってんだ、ショウよ」
「さぁ。強いて言えば、普段の講義を真面目に聞いている、としか」
「さすが優等生は違うねぇ」
二人は去年高校を卒業し、同じ大学に進学した。
MTGが必修科目として高等学校の教育課程に盛り込まれて以来、MTGの腕を買われて大学に推薦入学することはそう珍しいことでは無くなっていた。
小・中・高と同じ学校で勉学を共にした二人にとって、MTGは最早ライフワークに等しかった。
そんな二人が学校で1,2を争うMTGプレーヤーとして名を馳せ、その筋の大学にW推薦されることは、自他ともに認める当然の流れだった。
大学側も、そんな有望株を扱う以上、MTGをに冠する講義・演習に力を入れている。
「そうは言ってもやっぱりお前のコントロールデッキは辛いよ」
翔太が返す。
「カウンターの使いどころや、場の流れを読むセンスなんかは、ケンにはかなわない」
「まぁな。お前はコントロールデッキを上手く使えないからな。つまりゴミだ」
「こ、こいつ・・・褒めて損した」
「ま~たあんた達、それやってんの?好きだねぇ」
髪はショート、美人と言うよりもかわいいと言ったほうがピンとくる女性が、二人に茶々を入れてきた。
「アヤ、うるせぇぞ。俺たちの真剣勝負を邪魔するな」
「何よケン。あんた負けたんでしょ。素直に認めてさっさと私に借金返しなさいよ」
「っぐ・・・借金は今関係無いだろ!?」
「あります。私は今月飲み会が続いてピンチなんです。今日から利子はトイチだからね」
「あ、悪魔だ・・・。おいショウ、間違ってもこいつに金は借りるなよ。後が怖い」
「言われなくても、見りゃわかる」
「亜弥」と呼ばれた女性は香川亜弥。彼女も二人とは小学校時代以来の付き合いである。
ただし、中学・高校は両親の都合で他県に引っ越していた。
大学で再会し、3人はすぐに意気投合した。
「ほら、そろそろ次の講義始まるよ。ケンは出席日数ヤバイんでしょ」
「ぐぉ!まずい!「確率論」の講義だけは落とせねぇからな!」
「俺は別に。今日ぐらいはサボろうと思ってたんだが・・・」
「そんなこと言って俺の一歩先を行くつもりだろうが、そうは問屋が降ろさないぜ!いくぞ、ショウ!」
「はいはい・・・」
---後編に続く。
「引くなよ・・・引くなよ・・・引くなよ・・・!」
「アンタップ・アップキープ・ドロー・・・」
「引くなよ!絶対引くなよ!」
「・・・包囲サイをプレイ。通る?}
「んがーー!また負けたーーー!」
「だから、速攻タイプのデッキは初動が遅れたら負けって言ってんだろ・・・」
「俺の渾身のモダンデッキ【赤緑ブリッツ】は完璧のはずだ!くっそーもう1回!もう1回だ!ショウ!」
「やれやれ・・・」
呆れた表情で並べたカードを集め、手慣れた手つきでカードをシャッフルする青年。
「ショウ」と呼ばれた彼は、名を早川翔太と言った。
一方、必死でデッキとサイドボードを交互に睨めっこしている青年は、三浦健。
どちらも、MTGをこよなく愛する若者である。
「・・・にしてもよぉ。お前、いつの間にそんな強くなったんだ?」
「何が?」
「いや、強くなったと言うか・・・引きが強すぎるというか。
MTGを始めたのは同じくらい・・・ってか俺が教えたぐらいなのにさ。
一体どんだけショップ巡りしたんだってんだ、ショウよ」
「さぁ。強いて言えば、普段の講義を真面目に聞いている、としか」
「さすが優等生は違うねぇ」
二人は去年高校を卒業し、同じ大学に進学した。
MTGが必修科目として高等学校の教育課程に盛り込まれて以来、MTGの腕を買われて大学に推薦入学することはそう珍しいことでは無くなっていた。
小・中・高と同じ学校で勉学を共にした二人にとって、MTGは最早ライフワークに等しかった。
そんな二人が学校で1,2を争うMTGプレーヤーとして名を馳せ、その筋の大学にW推薦されることは、自他ともに認める当然の流れだった。
大学側も、そんな有望株を扱う以上、MTGをに冠する講義・演習に力を入れている。
「そうは言ってもやっぱりお前のコントロールデッキは辛いよ」
翔太が返す。
「カウンターの使いどころや、場の流れを読むセンスなんかは、ケンにはかなわない」
「まぁな。お前はコントロールデッキを上手く使えないからな。つまりゴミだ」
「こ、こいつ・・・褒めて損した」
「ま~たあんた達、それやってんの?好きだねぇ」
髪はショート、美人と言うよりもかわいいと言ったほうがピンとくる女性が、二人に茶々を入れてきた。
「アヤ、うるせぇぞ。俺たちの真剣勝負を邪魔するな」
「何よケン。あんた負けたんでしょ。素直に認めてさっさと私に借金返しなさいよ」
「っぐ・・・借金は今関係無いだろ!?」
「あります。私は今月飲み会が続いてピンチなんです。今日から利子はトイチだからね」
「あ、悪魔だ・・・。おいショウ、間違ってもこいつに金は借りるなよ。後が怖い」
「言われなくても、見りゃわかる」
「亜弥」と呼ばれた女性は香川亜弥。彼女も二人とは小学校時代以来の付き合いである。
ただし、中学・高校は両親の都合で他県に引っ越していた。
大学で再会し、3人はすぐに意気投合した。
「ほら、そろそろ次の講義始まるよ。ケンは出席日数ヤバイんでしょ」
「ぐぉ!まずい!「確率論」の講義だけは落とせねぇからな!」
「俺は別に。今日ぐらいはサボろうと思ってたんだが・・・」
「そんなこと言って俺の一歩先を行くつもりだろうが、そうは問屋が降ろさないぜ!いくぞ、ショウ!」
「はいはい・・・」
---後編に続く。
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